「死とは一体何なのか。」・古河市で筋肉を軟らかくして痛みを改善する口コミでおすすめの治療院！！！

おはようございます！

死とは一体何なのか。

この答えのない永遠の問いに人は思い悩み、考え続けてきた。

たとえば、紀元前６世紀に編纂された論語を紐解いてみる。

そこには、孔子の死に対する考え方が示されている。

いわく、「いまだい生を知らず、いずくんぞ死を知らず

（生き方でさえもまったくわからないのに、死に方などわかるはずもない）」。

とどのつまり、孔子ですら死については「お手上げ」状態なのだ。

死に方は、そっくりそのまま生き方の裏返しでもある。

だからこそ、死を巡る考え方にはそれぞれの個性がはっきりと映し出される。

死は恐れるものではない。

むしろ、歓迎するべきものなのだ。

まずはそんな「肯定派」の意見に耳を傾けてみよう。

晩年の谷崎潤一郎は、「もし喜んで死ぬことができるならば、

くだらなく生き続けるよりもずっと幸福でしょう」と語った。

漫然と生き永らえることを良しとしない、カラッとした谷崎流の美学が凝縮されている。

その一方で、「否定派」の悩みはより深刻だ。

田山花袋は喉頭がんに侵されて病床に伏せた死の間際、

見舞いに訪れた友人の島崎藤村に対して切々と不安を打ち明けている。

ねえ、君。

死んでしまえば、誰も知らない暗い場所に連れていかれるんだよ。

それを思うと、やっぱり僕はとてもじゃないが、

単純で明るい気持ちになんてなれないよ。

死んだらどこに行ってしまうのか、誰も答えを教えてくれない。

怖くて怖くて仕方ない。たしかにそれは、率直で正直な思いだろう。

そうかと思えば、「死なんて大したことじゃない」と豪快に言い放った先達もいる。

吉田茂元首相の側近中の側近として鳴らした白洲次郎は生前、

「死んでしまえば何も残らず、ただ腐っていく。

それだけのことだ」と言い切った。

その遺言が「葬式無用戒名不用」というシンプルなものだったことは有名な話である。

死んでしまえばそれっきり。

天国も地獄もなく、魂をあの世に持ち越さない。

この考え方は、坂口安吾の「人間は生きることが全部だ。

死ねば、すべてがなくなってしまう」という言葉にもどこか似ている。

そして、何物にもとらわれず泰然自若とした人生を送った樹木希林の死への考え方も、つい唸ってしまう。

彼女は生前、本誌のインタビューに対して。

私はね、女優としてではなく、ただ一人の人間として、ひっそりと逝きたいのよ。

生きるのが日常なら、死ぬことも日常。

やり残したことなんて、ありませんよ。

自分の人生、上出来でした。

と、飄々と答えている。

「死ぬときぐらい、好きにさせてよ」。

死をまるで旧知の友人のように受け入れる、なんとも「らしい」言葉だ。

人問の死生観と向き合い続けてきた宗教学者・島薗進氏はこう語る。

もともと死は人間にとって、ごく身近なものでした。

誰もがいずれは死んでしまう。昔の人ほど、その事実を自然に受け入れていたんです。

ところが、医療の進歩で寿命が劇的に延び、死を先延ばしにするだけの「技術」が飛躍的に発展しました。

それによって、人間が『自分たちは死を克服した』と錯覚するようになってしまいました。

とはいえ人間の心には、どこまでいっても死への思いが根付いている。

死への考え方は、ひとつの世代の中でも絶えず揺れ動いているものなのです。

たとえば戦後の経済発展のただなかに青春を過ごした私たち団塊の世代は、

死後の世界に思いを馳せるなんてことはナンセンスだという思いを他の世代よりも強く抱いてきました。

ですが、’95年の阪神淡路大震災や’11年の東日本大震災、

いま起きているコロナ禍など絶えることのない災害や疫病を通して、

人間は簡単に死ぬのだと痛感するようになってきています。

’06年の『千の風になって』や’08年の『おくりびと』など、

死をテーマにした曲や映画が多くの人々に支持されたのは、

日本人の死への捉え方がだんだんと変わってきていることを示しています。

決まりきった答えなど、はじめから存在しない。だからこそ人はこれからも死に思いを馳せる。

（「週刊現代」2020年4月11日・18日号より）

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