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おはようございます！

中村勘三郎が、がん闘病の果てに

亡くなってから今年で9年になる。

勘三郎は、食道がんが発見された年の前年に難聴を患い、

毎年受けていた定期検診を受けることができなかった。

去年のうちにがんが見つかっていれば、

内視鏡で取れたっていうんだけど、

これも運命だからねと語ったこともある。

コロナ禍の影響で、がん検診を受ける人が減っており、

同じ運命をたどる人は増えそうだ。

検査控えや通院控えによって、

自覚症状がなかった人のがんが

発見されるケースが減っていると考えられます。

こう語るのは、日本対がん協会がん検診研究グループの

小西宏プロジェクトディレクターだ。

私たちの調査では、全国の支部で実施している

大腸・肺・胃・子宮頸・乳がんの検診の延べ受診者数は昨年、

567万人から394万人と、3割強減っています。

がん診療がコロナ禍でどんな影響を受けたのかは現在、

調査中ですが、早期がんの発見が

減っている可能性があると推測しています。

日本のがん検診で見つかる

五大がん（胃・大腸・肺・肝・乳）の患者は、

毎年約15万人と言われている。

急にがんになる患者数が減るわけもないので、

検査の数が3割強減ったとすれば、

発見数もそれだけ減るはずだ。

約5万人のがんが見逃されている可能性があるのだ。

コロナによる国内の死亡者が

約1万5000人であることを考えれば、

ｳｲﾙｽ感染自体よりも恐れるべきは、

がんの見逃しとも言える。

とりわけ自覚症状のない早期発見が

減っているのだから、やっかいだ。

Ⅰ 期で治療する場合と、

進行してⅢ、Ⅳ期になった場合とでは、

治療成績が大きく変わってしまいます。

例えば、胃がんや大腸がん、

肺がんでは5年・10年生存率が大きく落ちます。

このまま受診控え、通院控えが続きますと、

数年先には進行期のがん患者が

増えていくのではないかと懸念しています。

大腸がんであれば、便潜血検査、胃がんであれば、

胃カメラなどが基本的ながんの検査だ。

とりいそぎ、最低限のものだけでも受けておいたほうが、

5年後、10年後に後悔することは少なくなるだろう。

ただし、内視鏡を飲む自信がないほどに

身体の衰えを感じるなら、胃カメラはお勧めできない。

新潟大学名誉教授の岡田正彦医師は、

高齢者は身体に負担が大きい検査を避けるべきだと語る。

この1年半で外出を控え、

すっかり体力が落ちてしまった人の場合、

胃や大腸内視鏡など侵襲性の高い検査は

避けたほうが無難でしょう。

また侵襲性はありませんが、

前立腺がんのＰＳＡ検査もお勧めできません。

早期の前立腺がんを発見できるとは限らない上に、

がん以外の病気でも異常値を示すことがあるため、

余計な医療を受けさせられる可能性があるからです。

（「週刊現代」2021年07月31日号より）

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