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おはようございます!
トイレットペーパー不足の”犯人”
デマは国民生活に大きな混乱を引き起こした。
《中国のトイレットペーパーエ場が止まったらしい。
トイレットペーパーが入手困難になるぞ》といった誤った情報が発端だ。
日本家庭紙工業会はただちに、「トイレットペーパーの98%は国内生産で、
原材料も国産。在庫は十分ある」と否定したものの、
買い占めは止まらずに店頭から本当に消えてしまった。
この”犯人”とされたのが鳥取県の米子医療生協の職員だった。
《次は、トイレットペーパーとティッシュペーパーが品薄になります。
事前に購入しておいたほうが良いと思います》とツイート。
生協側は職員が誤った情報を流したことを認めてお詫びを出し、
職員はネットで批判にさらされただが、
その前から同様の情報が流れており、職員もデマを信じこんでしまった。
”被害者”の1人かもしれない。
デマによる社会の混乱が被害者を増やしているのである。
なぜ、国民はデマを信じ、嘘だとわかったあとも買い占めが止まらないのか。
ソーシャルメディアに詳しい桜美林大学リペラルアーツ学群教授が語る。
人間には『信じたいものを信じる』という心理が働く。
これを確証バイアスと呼びます。
自分が『こうだろう』と考えていたことに合致する情報があれば、それに飛びついてしまう。
トイレットペーパーの買い占めはまさにそうです。
1月下旬からマスク不足が深刻化し、買い占めがいわれた。
そこに、紙不足でトイレットペーパーもなくなるというデマが伝われば、
『そうに違いない』と思って知人に拡散してしまう。
60代以上の人は石油ショック当時の買い占めが記憶にあるからなおさらでしょう。
また、お湯が予防にいいとか、カテキン入りのお茶や生姜、
にんにくには体に良さそうだというイメージがあるから、予防策のデマも信じてしまう。
予防にならないといわれても、確信がもてないから「お湯を飲んでも体に悪いわけではない。
生姜やにんにくはもともと体にいいのだから」と続ける人もいる。
しかし、「デマを信じることで感染を拡大させてしまう場合もある」という。
英国の感染症学者ポールーハンター教授のシミュレーションによれば、
感染症に関するデマの拡散で適切な対策が取られず、
感染拡大という悪影響を及ぼす傾向が確認されている。
たとえばノロウイルスについての正しい対処法に関する情報がある場合と
デマが含まれる場合の比較研究では、
デマ情報が多く含まれていると患者1人あたりの2次感染者数や発病率が上昇するが、
正しい情報の割合が高くなると2次感染者数も発病率も急激に減少し、
沈静化に向かう水準まで低下した。
したがって、感染拡大防止にはデマ対策も必要です。
根拠が不明な情報を安易に拡散するのを控え、
メディアもデマをはっきり否定することが重要なのです。
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(「週刊ポスト」2020年3月20日号より)
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