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おはようございます！

さらに年齢を重ねた70代や80代では、

がんの治療をどう選択すべきか。

手術による身体へのダメージが大きく、

術後の回復に時間がかかったり、

QOL（生活の質）が低下する可能性もある。

胃がんや大腸がんのⅠ期やⅡ期であれば

70代以上でも手術をしたほうが

5年生存率は圧倒的に高い。

ただし、手術に耐えられるかどうかは個人の体力次第です。

胃がんのⅢ期以降は手術の有無による

5年生存率の差は小さくなるため、

本人の体力や生活状況などを個別に判断のうえ、

リスクとベネフィットを見極める必要があります。

80代以上の胃がんのⅠ期は

『手術あり』の5年生存率は95％以Ｌだが、

Ⅳ期では10％未満となり、

手術をしない場合との差は縮んでいる。

身体への侵襲性が低い

腹腔鏡下の手術であっても、

胃の一部や全部を摘出すると消化機能が

落ちてげっそり痩せてしまうことがあります。

体力が落ちて、かえって余命を

縮めることに注意しなければいけません。

医療ジャーナリストがＱＯＬの観点から

胃の切除を控えた男性のケースを語る。

検診で早期の胃がんが見つかり

内視鏡で切除した70代男性は、

その後の病理検査で再発の可能性を指摘され、

『念のために』と開腹手術による

胃の切除を勧められたそうです。

しかし、男性は手術をせず経過観察することに。

現在は80歳近くですが元気そのもの。

胃切除で体力が落ちれば

『がんで亡くなる前に寿命を迎える

可能性もある』と考えておられます。

高血圧の治療で医師（秋津医院院長）の

診察を受けていた女性は、

75歳の時に別の病院で診断された

Ⅰ期の肺がん手術をキャンセルした。

女性は年齢を考えて手術を避けましたが、

10年経って85歳になった

今も肺にはがんがある。

最近は『肺がんと仲良く年を取っていく。

がんが大きくなっても治療せず

緩和ケアを選ぶ』と言っています。

この女性の言う通り、

高齢になってからのがん治療は、

身体への負担を考えると、

外科手術や抗がん剤などの積極的な

治療が正解とは限らないのです。

考えるべきは治療の効果ばかりではない。

人生の最期をどう迎えたいか―

患者自身の意思が問われる場面でもある。

治療をするかしないかの判断で、

医師は常に正解を持っているわけではありません。

最終的に何を選ぶか決めるのは患者さん自身です。

自身が望む余生のためには、

相談を親身に受けてくれる主治医との

出会いも鍵を握りそうだ。

（「週刊ポスト」2024年2月9・16日号より）

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