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おはようございます！

手の施しようのない『末期』まで、

がんが進行してしまうとより

過酷な痛みを味わうことになる。

都内在住の北川誠さん（60歳・仮名）が、

2年前に大腸がんで亡くなった母親の最期を語る。

大腸がんはすでにステージⅣで、

切除手術は難しい状態でした。

そこで、抗がん剤と補助剤、

吐き気眼めを使った『全身化学療法』で、

延命治療をすることになったのです。

北川さんの父親は病院のベッドの傍らに脆いて、

『俺を残して死なないでくれ……』と涙を流していた。

当初は北川さんも同じ気持ちだった。

なるべく長く、母親に生きていてほしいと願っていた。

ところが、あまりに辛そうな母の姿を見て、

考えが揺らぎはじめました。

医者からは、がん細胞が内臓を覆う腹膜にも広がり、

腹水が溜まっていると説明されました。

不自然に出っ張ったお腹に

肺を圧迫されながら、

母は苦しそうに息をしていました。

そこから病状はどんどん悪化していく。

がん細胞が消化管を

巻き込む腸閉塞も起きて、

母親は1時間に一回程度、

激痛に襲われるようになった。

鎮痛薬をどんどん強くしても、

痛みも増していくので

『いたちごっこ』で追いつけない。

そしてある日、北川さんは母親がこぼした

衝撃的な言葉を聞いてしまったという。

ちょうど父親が買い物で席を外している時だった。

『もう殺してほしい……。眠らせてほしい……』

動揺を隠しきれないまま、

戻ってきた父親に『いま、

母さんが！』と耳にした言葉を伝えた。

しかし父親は『バカなことを言うな』と反発し、

認めようとはしなかった。

このまま苦しみ続けるなら、

治療をやめてもいい。

母もそれを望んでいるはずだと、

私は父に言いました。

しかし父は『一日でも長く』と譲らず、

母はほぼ昏睡状態のまま2ヵ月近く延命され、

息を引き取ったのです。

最近では、苦しまずに旅立つための

『緩和ケア』が導入されている病院も増えている。

だが、誰もが痛みと無縁の治療を

受けられるわけではないことが、

最新の調査で明らかになった。

先月25日、意外な実態を示す調査結果が公表された。

国立がん研究センターが、

がんで亡くなった人の遺族およそ

5万4000人にアンケートをした結果、

がん患者の約29％が亡くなる直前1週間に

強い痛みを感じていたことがわかったのだ。

『医療者がつらい症状に速やかに

対応していたか』という問いには、

8割以上が何らかの対応を

してくれたと答えています。

つまり医療者は対応しているものの、

取りきれない痛みがあったと考えられます。

脳卒中や心筋梗塞と違って余命がわかるから、

がんで死にたい。

こう言う大もいるが、がんと闘い、

がんで死んでいくには大きな『痛み』が

伴うことを忘れてはならない。

（「週刊現代」2022年04月16日号より）

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