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おはようございます！

これらの病気に共通するのは、

脳の中でも最も深く、

神経が錯綜する場所に腫瘍が生じることだ。

聴神経腫瘍が発生する

『小脳橋角部』という場所には、

小脳、脳幹、聴神経、顔面神経など

重要な組織が集まっている。

患者さんのために最も避けたいのは、

手術によって顔面神経麻痺が生じること。

高い技術がないとこなせない

手術なのは確かですが、

むやみに腫瘍全体を取り切ろうと

深追いするのではなく、

患者さんの条件を加味した

『やめ時』の判断こそが専門性の見せ所だと考えています。

過去25年間で聴神経腫瘍手術を

累計1600件以上執刀し、

約98％で顔面神経麻痺を回避している。

量・質ともに圧倒的である。

外科医の世界では

『数こそ質なり』と言われる。

手術の経験こそが医者を

成長させ、技術を磨く。

その言葉を座右の銘に、

年間300件超の高難度心臓手術を執刀するのが、

東京女子医科大学心臓血管外科教授・副院長だ。

狭心症・心筋梗塞を起こした患者への

冠動脈バイパス手術がそのうち

200件ほどを占めるというが、

そのほかにも弁膜症や大動脈瘤の手術、

心臓移植とオールラウンドにこなす。

兄でサントリーＨＤ社長と同様、

好奇心旺盛なのか。

若手の頃、大先輩である天野篤先生

（上皇の執刀医として知られる心臓外科医。

順天堂医院特任教授）に『チャレンジしなさい』と

よく言われたことが根っこにあるのだと思います。

多くの外科医はひとつの得意な

手術に集中しがちですが、

私はいろんな手術をしてみたい。

特に心臓移植は可能な施設が

国内に11ヵ所しかないため、

自分がやらなければならない

という使命感もあります。

印象深い手術がある。

’12年に初めて心臓移植を執刀した時のことだ。

通常、心臓はドナーから摘出されて

4時問以内に移植を終えなければなりませんが、

その時は心臓が病院に到着した

時点で3時間半が経過していました。

当時、籍を置いていた

埼玉医科大学は施設を刷新し、

移植の認可を受けたばかり。

慣れない設備、初めての執刀、

そして制限時間30分という極限状況でも

鮮やかに手術を成功させた。

得意とする前述の冠動脈バイパス手術では、

直径0.3～2㎜の細い血管を切り取り、

つなぎ合わせなければならない。

私がよくやっているのは、

心臓が動いている状態で行う

『ビーティングハート』と呼ばれる手術で、

振動が大きい。

その状態で『グラフト』という代替の血管を

体内の別の場所から切り取り、

断面を合わせながら0.5㎜間隔で

縫い合わせなければなりません。

まして心臓は、その人の顔のように

ひとりひとり全く違う。

指先の感覚を研ぎ澄まさなければ、

高齢の方や動脈硬化の患者さんの

脆い血管を縫い合わせるのは難しい。

（「週刊現代」2022年02月19・26日号より）

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