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おはようございます!
保存療法によって痛みを
改善することはできるものの、
軟骨のすり減りや骨の変形の進行を
止めることは残念ながら不可能だ。
したがって、痛みに耐えられなくなり、
生活や歩行にも支障を来すように
なった場合には手術が検討される。
変形性膝関節症の手術は、
大きく分けて3つある。
骨の一部を切り取って
O脚を修正する『骨切り術』。
関節の一部を人工のインプラントに
取り替える『部分置換術』。
関節すべてを入れ替える『全置換術』だ。
50才くらいまでならば、
骨切り術で脚を真っ直ぐに
治すことで変形の進行が止まり、
将来的に人工関節を
回避できる可能性がある。
また、膝関節は皿の裏、内側、外側の
3つから成り立っており、
そのうち1つだけ変形している場合は
部分置換術が適用されます。
この手術のメリットは、
全置換術より小規模な手術で自然な
動きの膝が獲得できることです。
ただ、変形が進んでしまった場合には
骨切り術や部分置換術では対応が難しく、
全置換術が必要となる。
かつては、人工膝関節の耐用年数はおよそ10年で、
それを過ぎると再置換の手術が必要だった。
しかし、近年は耐用年数が大幅に延びた。
東邦大学医療センター大森病院整形外科・
人工関節治療センター長の医師が解説する。
人工関節の耐用年数が
10年程度といわれていたのは、
いまから20年以上も前のことです。
人工関節を作る技術が改良された結果、
20年は耐えられるようになっています。
実際、私のところにも、手術後、
20年以上入れ替えずに
通っている患者さんが大勢います。
また、耐用年数が10年だった時代は
『手術後、痛みが取れて歩ければ
それでいい』という考えでしたが、
いまは手術を取り巻く技術が進歩しており、
患者さんがいかに元の生活に近い
日常生活を送れるかを追求する時代です。
バレーボールのようにジャンプして
膝に大きく負荷がかかるスポーツはまだ難しいものの、
ゴルフやテニス、サイクリング、登山、スキーなどを
楽しんでいる患者さんが多くいます。
医師によれば、中には手術に踏み切れず、
ヒアルロン酸の関節内注射を
何年も続けている人がいるという。
しかし、手術のタイミングを逸しないことも大切だ。
軟骨がすり減り続けて完全になくなり、
骨と骨が直に接するようになると
骨内部の組織が損傷して出血などを起こします。
そうなるとヒアルロン酸の
関節内注射は効かなくなります。
骨内部の組織が損傷しているかは
単純X線検査だけではわかりません。
保存療法を続けていても症状が
改善しない場合はぜひMRI検査を受けてください。
長年痛みが取れないと家に閉じこもることが多くなり、
精神面にも影響を及ぼします。
手術により痛みが取れることで、
家族や友人と旅行に行けるなど
楽しい生活が取り戻せます。
適切なタイミングで手術を受けることは、
健康寿命を延ばすためにも大切です。
なお、”切らずに冶す最新治療”として、
膝の再生療法を
行っている医療機関もある。
患者自身の血液を採取し、
そこから血小板を多く含む血漿を
抽出して関節に注射する
『多血小板血漿(PRP)療法』や、
脂肪から採取した幹細胞(さまざまな
種類の細胞に分化できる母細胞)を
増やして関節に注射する
『脂肪幹細胞治療』などがある。
健康保険が摘用れないため、
1回の注射で数十万円ほどかかる高額な治療だが、
効果はどれほどなのだろうか。
再生と名前がついていますが、
実際のところ膝軟骨を完全に再生できるという
エビデンス(科学的な証拠)はありません。
再生というより抗炎症作用が主体ですので、
水がたまらなくなったり、
痛みが減ったりする効果は期待できますが、
変形が進めば痛みがぶり返すことになります。
医師と相談のうえ、膝の痛みを取るための
最適な治療法を選択してほしい。
(「女性セブン」2024年2月29日・3月7号より)
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