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おはようございます！

食は人なり。

何をどう食べるかは、

すなわちどう生きるかを意味する。

人生100年時代、

健康長寿のため身体を動かし、

脳トレに励もうにも、

食を疎かにしては始まらない。

では、如何に食べればいいのか。

食と健康の専門家が

『老けないための多様食』を説く。

単に”生きながらえる”だけでなく、

健やかに寿命を全うする。

人生100年時代を迎え、

『寿命』ではなく

『健康寿命』に対する

意識が高まっています。

その結果、世の中にはさまざまな健康情報、

中でも食に関する情報が

溢れているわけですが、

ぜひ、留意していただきたいことが2点あります。

まず、特定の栄養素に注目して『これさえ摂っておけば』、

あるいは『これだけは避けなければいけない』

といった類の食事法には

注意が必要であることです。

人間の身体は複雑なシステムで出来上がっており、

特定の栄養素を摂れば健康になるとか、

逆に身体に良くなさそうなイメージの

栄養素さえ摂らなければいい

という単純な話ではありません。

栄養素は相互に関連しながら効果を倍加させたり、

半減させたりもします。

したがって、『これだけ』で健康になると

短絡的に断じるのはとても危険です。

次に、健康常識は『ひとつ』ではないということです。

2020年3月まで私が副所長を務めていた

『東京都健康長寿医療センター研究所』では、

時間をかけて高齢者の追跡調査を行いました。

その結果、浮かび上がってきたのは、

若い人と高齢者では望ましい

健康常識が異なるという現実でした。

こう解説するのは、

女子栄養大学栄養学部の教授（地域保健・老年学）だ。

食と健康等に関するコホート研究（疫学調査）などに

長年携わってきた教授は、

”健康長寿研究の総本山”とも言うべき

東京都健康長寿医療センター研究所（以下、研究所）時代に

『老けないための多様食』を提唱した。

教授の知見に耳を傾けてみる。

例えば”ヘルシー”な食事。

さまざまな病を誘発する肥満を

気にしなければならない若い人にとって

栄養の摂りすぎは注意が必要ですが、

高齢者の場合そうとは言い切れません。

むしろ、栄養は”ちょっと摂りすぎ”くらいのほうが、

介護状態手前のフレイル（虚弱）に陥りにくいのです。

現に、肥満度を表す指数として

知られるＢＭＩ値は22が適正とされていますが、

これはあくまでこの値の人が最も有病率が

低いことを表しているに過ぎません。

死亡率で見ると、

21～28までさほど変化がなく、

25～30までが最も長生きするという調査もあります。

とはいえ、もちろん暴飲暴食は論外。

当然のことですが、しっかりと栄養を

摂るにもバランスが肝腎です。

そんなことは言われなくても分かっている。

そう思う人も多いかもしれません。

しかし、当たり前のことほど意外と難しいもの。

実際、知識として頭では理解できていても、

普段の食生活でバランスのよい食事を

意識的に実践できている人が

果たしてどれだけいるでしょうか。

いずれにしても、あれもこれも食べないといけないのか……と、

正直、億劫に感じる人が少なくないのではないでしょうか。

現実的には、

なにかしらの『指標』がなければ、

日々の生活の中でバランスのとれた

食事をするのはなかなか難しいと思います。

現代はまさに多様性の時代です。

それでは、どうすればバランスのよい食事、

すなわち多様性のある食事を

実践できるのでしょうか。

（「週刊新潮」2023年01月19日号より）

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