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おはようございます!

 

既存薬にも、老化を防止する効果が

あると推測される薬が存在している。

糖尿病治療薬『メトホルミン』には

アンチエイジングの効果が期待されるとして、

 

16年にアメリカの食品医薬品局(FDA)は、

世界で初めて老化防止薬としての臨床試験を許可した。

メトホルミンには、がん予防や

アルツハイマー病予防などの効果が期待され、

糖尿病治療薬として日本でも処方されている。

 

GLS(グルタミナーゼ)1阻害薬』は

抗がん剤として米国で臨床試験中の薬だが、

実はがん細胞だけでなく、

『老化細胞も取り除く効果』が

あるのではないかと注目されている。

 

その研究をリードしているのが、

東京大学医科学研究所副所長の教授の研究チームだ。

教授の説明を聞こう。

一口に老化細胞と言っても多種多様なのですが、

 

細胞分裂を停止した後も

生き残っているのが共通点です。

私たちは、本来なら自らが出す

酸性物質で死んでいくはずの老化細胞を

延命させているのがGLS1という

酵素であることを発見しました。

 

細胞はGLS1でアンモニア(アルカリ性)を作り、

酸性物質を中和している。

この酵素の働きをブロックして細胞死を誘導して、

老化細胞を取り除くのがGLS1阻害薬です。

 

若くて正常な細胞は酸性に傾かず、

アンモニアを作る必要がないので、

GLS1を阻害しても影響を受けないため、

老化細胞だけを選択的に除去できます。

 

老齢マウスを使った動物実験では、

加齢にともなう腎機能の低下や、

肺の線維化、肝臓の炎症などが抑えられ、

肥満による動脈硬化も改善された。

 

生活習慣病モデルマウスに投与すると、

2型糖尿病や動脈硬化、

非アルコール性脂肪肝炎が

改善されたという。

 

握力や運動能力の低下が

抑えられることもわかりました。

マウスを棒にぶら下がらせると、

普通の老齢マウスは平均で

30秒くらいで棒から落ちますが、

 

GLS1阻害薬を投与すると、

平均で100秒くらいぶら下がり続けました。

人にたとえれば、

70~80代が40~50代程度の筋力を

取り戻したような感じです。

 

現段階では、シワなどの皮膚、

毛髪、視力の改善は研究途中だという。

米国では抗がん剤としての

治験が始まっているが、

人での若返り効果も確認されているのか。

 

この治験には主に末期がんの

患者さんが参加しているため、

がんの進行を超えて老化の進行を

観察することはできません。

 

なので、人に対する効果はまだわからない。

ただ、副作用が極めて少ないことはわかっています。

時期は未定だが、研究チームでは、

国内で解析を進めていく予定だ。

 

(「週刊ポスト」2022年03月11日号より)

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