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おはようございます!
”世間の目”を気にしても注意が必要だ。
服用を隠したくなる一面があるという意味では、
勃起不全(ED)治療薬も注意が必要だ。
70代男性(事例⑤)は、
ED治療薬のPDE5阻害薬(シルデナフィルクエン酸塩)を
希望して受診し、
処方箋をもらって薬局を訪れた。
ところが、薬局で併用禁忌の狭心症治療薬(二コランジル)を
服用中と確認され、医師に問い合わせ後、
ED治療薬の処方が削除された。
いわゆるバイアグラですが、
血流をよくして勃起させるED治療薬と、
血管を広げる二コランジルを併用すると、
血圧が下がりすぎて心筋梗塞など
心臓血管系のトラブルが起こる可能性があります。
泌尿器科で勃起不全の薬をもらっていても、
内科などでそれを言わないケースも考えられます。
言うのが恥ずかしかったり、
治療している印象が薄く『言う必要がない』と
思ったりするのかもしれません。
海外から個人輸入していたり、
窓口でおくすり手帳の確認が不十分のまま薬を
買ったりする場合もチェックが漏れがちでしょう。
いずれも、危険性を孕んでいます。
実際に”ヒヤリ”では済まなかった事例も
過去に報告されている。
ED薬を使用して死亡した例があった。
高血圧、糖尿病、不整脈の持病が
あった60代の男性は友人から貰ったバイアグラを1錠服用後、
性行為をしたが、
服用から約3時間半後に死亡した。
男性は、不整脈の治療で、
併用禁忌である二トログリセリン貼付剤を
使用していたという。
抗凝固薬(ワルファリン)を
服用中に抗リウマチ薬(イグラチモド)を
処方された70代の男性(事例⑥)は、
まさに”九死に一生を得た”事例だ。
この飲み合わせが併用禁忌とされたきっかけは、
イグラチモドの販売開始直後(12~13年)に
相次いだ薬害事故だった。
両剤の併用で出血したり、
検査で異常値が出たりした症例9例が報告され、
そのうち3例が重篤、
1人が死亡している。
これを受け、
厚労省医薬食品局安全対策課長通知(13年5月17日付)により
添付文書が改定され、
ワルファリンとの併用は『注意』から『禁忌』へと変わった。
ワルファリンとイグラチモドを併用すると、
抗凝固薬の作用が増強されて出血がしやすく、
止まりにくくなります。
脳梗塞などの予防のためだった抗凝固薬によって、
脳出血などを起こすリスクが高まってしまいます。
『薬局ヒヤリ・ハット事例』で
報告された併用禁忌の事例は、
薬剤師が気付くなどにより水際で
食い止められたものだ。
現実はもっと多いかもしれない。
検証がなされて『併用禁忌』だと
発覚している事例は一部にすぎません。
実際には膨大な飲み合わせのパターンがあり、
それらすべてを検証できていないのが現実です。
少しでもリスクを減らすために
医師や薬剤師に飲んでいるすべての薬を
自分からきちんと伝えることが大事ですし、
相談の上で多剤併用処方の是正に
取り組むことが必要です。
薬の飲み合わせによって死に至るリスクもあるー。
その事実を重く受け止めるべきだ。
(「週刊ポスト」2021年10月15日・22日号より)
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